屋根の漆喰(しっくい)について、やね屋さんが分かりやすく解説!
目次
意外に知られていない、漆喰(しっくい)の重要性
屋根瓦には欠かせない漆喰(しっくい)。
漆喰(しっくい)とは、屋根瓦の1番上の箇所にあたる「棟(むね)」の
台土を守るために塗り込んでいる材料で、画像にあるように白く塗り込まれたところを
『漆喰(しっくい)』と言います。
この漆喰(しっくい)は、定期的にメンテナンスを行う必要があるのですが、
意外にみなさん漆喰(しっくい)のメンテナンスの必要な時期を見逃してしまい、
漆喰(しっくい)の劣化から屋根全体のダメージに繋がってしまうケースがあり、今回の記事にしました。
この記事では
- 漆喰(しっくい)の役割
- 補修のタイミングや目安
- 漆喰補修の際の業者選定について
をご紹介していきます。
屋根の漆喰についての正しい知識を身につけ、
ぜひご自宅の屋根のメンテナンスの参考にして頂ければ幸いです。
漆喰(しっくい)の役割
漆喰(しっくい)は、瓦や壁の上塗り、天井など様々な建築で使用されています。
漆喰(しっくい)の歴史は、5000年以上も前から世界中の
様々な建築物に使用されて、
日本の伝統的な家屋の壁やお城などにも利用されています。
屋根の漆喰(しっくい)は、屋根の棟(むね)と瓦の間の隙間を埋め、
瓦の下にある屋根の葺き土(ふきつち)を雨風から守り、
替え瓦と瓦を接着させる目的で漆喰(しっくい)が塗られています。
瓦と漆喰(しっくい)の寿命の違い
屋根瓦に使われる瓦の耐用年数は長いもので50年〜60年と長いものが多いのですが、
屋根の漆喰(しっくい)の寿命は瓦よりも短く、20年前後で表面が朽ちてきたり、
剥がれてきたりするのが一般的です。
漆喰(しっくい)は、消石灰を主とした材料のため、
瓦と違って耐用年数は短く、主に以下のような要因で劣化していきます。
- 雨風に晒されると朽ちてくる
- 直射日光や寒暖の差による劣化
- 時間と共に漆喰(しっくい)が痩せてくる
本来、屋根の漆喰(しっくい)は、定期的にメンテナンスするものです。
漆喰(しっくい)の劣化の状況を見ながら、必要なタイミングで
漆喰(しっくい)の手入れを行うことで、
瓦屋根全体の耐用年数も保ち、日本家屋全体の寿命も長持ちさせることができます。
見過ごされることが多い漆喰(しっくい)のダメージ
瓦屋根全体の耐用年数は長いのに対し、漆喰(しっくい)部分の劣化は
20年前後で出てくるものですが、
見過ごされてしまうケースが多いのが漆喰(しっくい)のダメージ。
家の下から屋根を見上げても、漆喰(しっくい)部分の劣化は
あまり気付きにくいこともあり、
剥がれた漆喰(しっくい)部分から、瓦の下の葺き土(ふきつち)が雨水に浸食され、
気付いた時には棟全体がダメージを受けているというようなケースも多いようです。
漆喰(しっくい)のダメージの主な症状
「漆喰」が剥がれてしまうことで起きる症状を段階別に3つご紹介いたします。
- 棟の台土の流出
- 瓦の抜け落ち
- 雨漏り
この3点が大きく分けて浮かび上がってまいりました。
それぞれご説明いたします。
その1.棟の台土の流出
漆喰が剥がれてしまうことで屋根の中で一番大切な棟の
台土が雨風に打たれ、流出してしまいます。
おうちで言うと基礎の部分になりますので致命的な劣化につながります。
どんなに立派なおうちも基礎が流れてしまうと傾いてしまいます。
屋根の上でも同じことです。
漆喰で台土をしっかりと保護することで屋根の耐久年数はかなり変わってきます。
屋根の耐久年数が変わってくると住宅の寿命も変わってきます。
瓦の寿命は約35年〜60年ぐらいはあると考えられていますが、
棟の台土谷漆喰にはそこまでの耐久年数はありません。
先ほども紹介しましたが20年前後と考えて頂いたら良いです。
したがって、その間、漆喰の塗り込みや小さな補修が必要になってきます。
逆に言うと瓦自体にしっかりと寿命があるため、
漆喰(しっくい)の補修をしっかり行えば、漆喰(しっくい)のみの
小さい補修だけで維持できるというのが瓦屋根のメリットになります。
その2.瓦の抜け落ち
先程述べた棟と言う箇所に漆喰が使われており、
棟には瓦が積み上げている場合が多く、その瓦のズレなどから棟の中に雨水が侵入し、
その侵入した雨水は赤土を湿らし風化させます。
その結果、瓦への接着力がなくなり、また瓦がズレると言う悪循環を繰り返していきます。
放って置くと中に入り込んだ雨水が外に出ようとする際、
漆喰を押し倒し、剥がれると言う考え方になります。
このことから、漆喰の剥がれは年数的な劣化だと考えてられます。
ここで一番怖いのは、住んでいる方が気づきにくいと言うことです。
「目の上のたんこぶ」であり、誰かに指摘され、気づく場合が多いと聞きます。
その3.雨漏り
そして最後に出てくる症状として、部屋内への雨漏りとなります。
棟の中に雨水がまわると言う事は、放っておくと瓦の裏にも雨水が回り、
瓦の下に施行してあるルーフィングと呼ばれる防水シートの劣化につながります。
この防水シートは最後の砦です!
ここがダメになってしまうと雨漏りへとつながります。
この段階で入り込んだ雨水が屋根の下地も通過していることから、
多くの場合、屋根下地の補修も必要となることも多く、大きな費用がかかってしまいます。
屋根修理業者選定のポイントと補修方法法
最後に、補修方法について解説します。
先程述べたように赤土が一度水を含んでしまうとダメになってしまいますので、
漆喰工事の際は劣化状況を細かく把握し、
赤土の補修(もしくはダメ漆喰)も併せて行うと良いでしょう。
ここで少しアドバイスです。
新築時に塗ってある漆喰は約3ミリ程度の厚みしかついていません。
しかし補修の場合は約3倍の厚み1センチ位までは塗り込めると思います。
補修業者さんに「漆喰の厚み」などを聞いてみると良いと思います。
そしてもう一つ重要なポイント。
漆喰は大きさを変えてつながっています。
職人さんの技術的なこともありますが、棟の中の台土が1本で通っているため、
漆喰も途中で継ぎ接ぎすることなく1本で
塗る込むと剥がれにくく、耐久年数も劇的に変わってきます。
漆喰(しっくい)の重要性のまとめ
瓦屋根は瓦がダメになるのではなく、屋根の作りが劣化している場合が多いです。
人間の体と一緒です。傷が浅いうちに手入れする方が費用も少なく、
長い目で見た場合良いと思います。
お問い合わせの参考にしてみてください。よろしくお願いいたします。
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